物語の断片(writing作品より抜粋)」カテゴリーアーカイブ

パンドラの素粒子#37

太陽に向かって
草原を 全力で走った
走って 走って 走って
息が切れて 立ち止まると
僕の隣に
息を切らした きみがいた

熱い風が
僕らを揺らして 通り抜けると

きみの瞳に
地平線が反転するのを 見た

 

「世界の果てはゾウの耳」#143

 

 

パンドラの素粒子#23

ルフが 大空を飛んでいく
気をつけろ
きみの言葉で 世界が創られている

太陽が 手を伸ばす
注意深くあれ
きみの視線が 世界の在り様を示している

月が 海を持ち上げる
よく考えろ
きみの思考が 世界の行く末を決めている

流星が 種を蒔く
さあ 何をする?
僕らは きみの願い事を待っている

銀河が 渦を巻く
届かない声などない
きみの声は 全世界を震わせている

 

「世界の果てはゾウの耳」#293

 

 

パンドラの素粒子#22

扉が 開く
窓が 割れる
誰が 来て
誰が 去ったの?

大地が 沈み 隆起した
何が 壊れて
何が 創られたの?

私が 目を閉じる
私が 目を開ける
何を 見て
何を 見なかったの?

太陽が 昇り 沈んでいく
誰が 目覚めて
誰が 眠ったの?

木々が 揺れる
波が 立つ
雲が 渦を巻く
私の中で 細胞が 死に 生まれ
どこか遠くで 星が 死に 生まれた

 

「世界の果てはゾウの耳」#126