ひとり

「私はひとりだ」
そう言った途端 彼は世界から目を背けた
「必要とされないなら」 と彼は立ち去り
「必要でないのなら」 と人々も彼から立ち去り
風も木々も鳥たちも 口を閉ざした

「私はひとりじゃない」
そう言った途端 彼は世界と向き合った
「必要なのだ」 と彼は立ち上がり
「必要ならば」 と人々も彼へ手を伸ばし
風も木々も鳥たちも 語りはじめた

「私はここにる」
そう言った途端 彼から幻想が消え去った
「必要なものはここにある」 と彼は世界と共に歩き出し
「あれもこれも必要なかったんだ」 と人々も自分の足で歩き出した
風も木々も鳥たちも うたいはじめた

ひとりを嫌がる人は 自分のことしか見ていない
ひとりを好む人は 自分を含めた世界を見をている
孤独は寂しいことじゃない
世界自身であることなんだ

あなたは ひとりじゃない
私たちが ここにいる
あなたは ひとり
私たちと同じ ひとつだ