物語の断片(writing作品より抜粋)」カテゴリーアーカイブ

「ファーベルとコスモス:光と闇とリリイと自由」

リリイは 光の中で 闇を うたう
リリイは 闇の中で 光を うたう

リリイは 光と闇の真ん中で 自由を うたう

リリイは 光の中で 立ち止まる
リリイは 闇の中で うずくまる

リリイは 光と闇の真ん中で 翼を 広げる

リリイは 光の中で 泣く
リリイは 闇の中で 笑う

リリイは 光と闇の真ん中で 目を 開ける

リリイは 光の中で アイを 壊す
リリイは 闇の中で アイを 創る

リリイは 光と闇の真ん中で ボクと 出会う

リリイは 光
リリイは 闇

リリイは 昼
リリイは 夜

リリイは 太陽
リリイは 月

リリイは 天使
リリイは 悪魔

リリイは 生
リリイは 死

リリイは 誰でもない
キミに 出会うまでは

リリイは 自由
ボクと 共にいるときは

キミは ボクと 出会ったら 何になる?

ボクを みつけて

 

― writing: 「ファーベルとコスモス」より抜粋

 

 

「ファーベルとコスモス:ボクをみつけて」

ハロー ハロー  聞こえるかい?

さぁ 今から はじめるよ

始まることも 終わることもない 物語
言葉の前に 言葉の後にある 物語

ハロー ハロー  見えるかい?

さぁ ここから はじめるよ

誰でもあって 誰でもない 物語
どこにでもあって どこにもない 物語

ハロー ハロー  感じるかい?

これまでも 今も これからも そうであるように

ボクとキミの 物語は これまでも 今も これからも
ボクとキミとセカイの 物語は これまでも 今も これからも

ハロー ハロー  知っている?

ボクは キミを 知っているよ

あらゆる区別を超えた先で ボクとキミは 出会うだろう
あらゆる区別がはじまる前で ボクはキミを 待っている

ハロー ハロー

ボクを みつけて

ハロー ハロー

キミが創り上げた物語が 終わるとき
本当の物語が はじまるよ

ハロー ハロー

ボクを みつけて

 

― writing: 「ファーベルとコスモス」より抜粋

 

 

「A Song of Twin Suns:#4」より「この目が見る世界」

おまえの目に 何が見える?
おまえの見る世界は どこから来た?
おまえの見た世界は どこへ行く?
おまえの目に 何が見える?
おまえの目が 今 見ている世界は 何か?
記憶の中で 見ている世界か?
空想の中で 見ている世界か?
眠りの中で 見ている世界か?
それとも おまえ自身が こうあれと望む世界か?
あるいは 誰かによって 教えられた世界か?
おまえの目に 何が見える?
おまえの外で 触れることのできる世界だけが 存在しているのか?
おまえの内で 触れることのできない世界は 存在していないのか?
おまえは 今 どこにいる?
記憶の中か? 空想の中か? 眠りの中か?
それとも おまえ自身が こうあれと望む世界か?
あるいは 誰かによって 教えられた世界の中か?
ここ とは どこだ?
今 とは いつだ?
おまえの目に 何が見える?
おまえは 今 どこにいる?

 

writing:「A Song of Twin Suns」より抜粋

 

 

「A Song of Twin Suns:#4」より「占星術師のつぶやき」

asongoftwinsuns暗闇の中に 青い球体が現れた
それは 片方の手に 青い球体を乗せて 自分の頭より高く掲げながら
もう片方の手で 分厚い一冊の本を広げて 熱心に読んでいる
顔に深いしわをいくつも刻んだ 占星術師だった
占星術師は 独り言のようにつぶやいた

星々が巡っていく これは いつからはじまったのか
星々が巡っていく これは 誰の意思によってか
私は 星々を読む これが 星々の目的なのか
私は 星々を読む それとも 私がこうあれと 目的を与えているのか
星々が巡っていく 本を見つめる 私の頭上を
星々が巡っていく 私は 本を閉じよう
星々よ 私は ここにいる
星々よ 答えてくれまいか
天頂に瞬く星々よ 我々は 誰の意思によって ここにいるのか

占星術師は 片手に掲げていた青い球体を 飲み込むと
目をむき出し 暗闇の中に消えた

 

― writing: 「A Song of Twin Suns」より抜粋

 

 

「惑星<雨>:10.クリークの助言」より「悪い人」

planet-rain「アナタのことが、もっと知りたいわ。」 ヴィーゼはそう言って、ゆっくりと身体を起こした。
ソラは、ヴィーゼの身体を支えながら、 「知る必要なんてないさ。」 と言った。
「ソラくん、キミはちっとも変っていないね。キミは、ワタシの何を、どう、知っているというのだね? ん?」 クリークはそう言うと、今度は両手をだらりと下げて、肩を落として聞こえるように大きく溜め息をついた。
「オマエは、悪だ。敵だ。偽りの神だ!」 ソラは、さらに鋭い視線をクリークに向けて、強い声でそう答えた。
「ほほう。では、悪とは何か? 敵とは何か? 偽りの神とは何なのだ? え?」 クリークは、ソラに詰め寄った。
「それは・・・。」
「それは?」
「・・・とにかく、オマエがいなければ、この世界は平和になるんだ!」 ソラは、しっかりとした答えを見つけることが出来ず、そんな自分への苛立ちとともに、投げつけるようにそう言った。
「おやおや、ワタシを殺すとでも言うのかい? 殺してどうなるというのだ。悪い人という者ならば、殺してもかまわないのかい? 平和を望む人間ならば、そのためには何をやってもかまわない、とでも言うのかい? え? 平和とは、何か。ただそうあるだけではないのか。ん? ・・・だが、キミにはそれさえ出来まい。いつも逃げ回ってばかりだからな。クックッ。」
「なんだとぉ!」 ソラは、拳を握りしめながら、自分の身体が熱くなり、震えているのを感じた。
「待って、ソラ。落ち着いて。この人は、私たちを怒らせようとしているのよ。・・・でも、同時にとても大事なことを言っているわ。鍵になることを。」 ヴィーゼは、ソラの手にそっと触れながら、クリークをじっと見て静かにそう言った。
「おや、おや。キミも見習いたまえ、ソラくん。攻撃的になるのは、弱い証拠だよ。ん?」
ソラは、ヴィーゼのやわらかい手と穏やかな鼓動を感じながら、必死に怒りを鎮めようとした。

 

― writing: 「惑星<雨>」より抜粋