「A Song of Twin Suns」の始まりに

めっきり冷えてきた静かな夜の空気を感じながら、個展「A Song of Twin Suns」の搬入をしてきました。
搬入作業は、まずギャラリーの扉を開けて、静かで真っ白な空間に入っていく。そして、ひとつひとつの完結した作品を閉じ込められていたエネルギーを解き放つように梱包を解いていく。次は、会場全体をひとつの作品として、完成した作品ひとつひとつはその一部として配置していく。それは、特大のキャンバスに絵を描くようで、とても楽しい作業です。ひとつひとつそれぞれの世界がありながら、ひとつの世界を作っていく。そして、それぞれが最も適した場所に収まっていく・・・。
私たちの世界は、どうだろう・・・。

何事も、自分がやっていることをただ何となくこなしていくのではなく、注意深く見てみると、いろいろな発見がある。
遊ぶためには、土台がしっかりしてないとダメだってこととか。
いくら良いアイディアが浮かんでも、まず下地をしっかり作らなければ、適した用紙、適したサイズを選ばなければ、いくら頑張っても中途半端なへんちくりんなものができるばかり。
料理だって。おいしい料理を作るには、下ごしらえが大事。もっと言えば、食材が大事。いい食材を作るには、土が大事、水が大事、陽が大事、風が大事(今では人工で作ったりもしているけれど・・・)。そうやって、環境のことやいろいろなことに気づくことができる。
そして、この環境を作っているのは何だろう? この地球はどこにあるのだろう? と考えてみると、またいろいろなことに気づく。目の前のことから一気に宇宙まで拡大していったけれど、じゃ、私は? と考えてみると、外側に向かっていった意識は一気に内側に向き、自分のあり方がこの世界に影響を与えているのだと気づく。
何か大きな目立つことをするのが素晴らしいのではなく、普段の生活でやっていることに注意深くあれば、それだけで意識の転換は起きるのではないだろうか。誰かや何かを待つ必要もなく。
しっかりとした土台ができている上で思いっきり遊ぶ。それが成熟した大人の“遊び”ではないだろうか、と思う。

今回の個展のタイトルは、はじめ「Gate of Twin Suns」にしようと思っていました。でも、今年に入ってからだったか、「A Song of Twin Suns」という音が聞こえて、そうすることにしました。
宇宙はうたで満ちている。ゲートオープンという壮大な感じよりバラバラだった音が重なって一つの音を奏でるという方が楽しそうです。

それでは、みなさまのご来場お待ちしています。

 

> 個展「A Song of Twin Suns」 ※ こちらの展示会は終了しいています。